医療情報
ぜんそく(喘息)の診断方法と、当院で行っている検査について
問診・視診
最も重要なことです。これだけである程度の診断が下されます。
「典型的に認められるぜんそくの症状とは?」ページをご覧いただき、診察前に問診される内容をまとめておきましょう。
呼吸の仕方や唇の色なども重症度を見る上で重要です。
聴診
もっとも特徴的な呼吸音は「息を吐くときに出るヒューやプーッと発する音」です。
ただ聞こえないときもあります。思い切り息を吐くと聞こえる場合があります。
このような音が聞こえないからと言ってぜんそくを否定できません。
胸部レントゲン写真
ぜんそくでは通常レントゲン写真上では明らかな異常所見は見られませんが、発作がひどい状態の時には肺が過膨張になって肺の部分が明るくなってきます。
さらに鑑別診断を必要とする病気を除外するためにも必要です。
当院では被曝量が少なく心臓や横隔膜の後に隠れた腫瘍陰影なども見落としにくいFUJIFILM DRと高精細モニターEIZOで診断を行っております。
肺機能検査
非常に重要な診断検査です。とくに気道が狭くなったぜんそくでは呼出力をみるPEF(ピークフロー値)、一秒間に一気に吐き出す1秒量FEV1.0、吐き出した全体量FVCで割った1秒率を計算します。さらには吐き出す状態の曲線(F-V曲線)の特徴からも診断を行います。
呼気一酸化窒素濃度(FeNO)
(少し難しいのですが)ぜんそくでは炎症性サイトカインによって気道に一酸化窒素酵素NOSの誘導が起こって、大量のNOが産出されます。その呼気のNOが35ppb以上であればぜんそく状態であると考えられます。
治療によりその数値は低下しますので治療のコントロール状況を見る上でも参考になります。
血液検査
アレルギーの状況をみる血清IgE抗体や好酸球数などを血液検査で行います。
喀痰細胞診断
ぜんそくではアレルギーが関与しますので、喀痰の白血球の中でも好酸球の比率が増してきます。
細菌などの感染があれば好中球が多くありますが、その比率も治療に生かされます。
鑑別するべき病気
- 上気道炎
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
- 気道狭窄(気道内異物、気管支結核、気道内の腫瘍など)
- 気胸
- うっ血性心不全
- 過換気症候群(過呼吸)
- 過敏性肺臓炎、肺炎(マイコプラズマ肺炎など)
- 肺塞栓症(肺梗塞)
- アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)
- ACE阻害降圧剤(レニベースやタナトリルなど)などの薬剤
などがあげられます。
(参考:ぜんそく予防・管理ガイドライン2018、日本呼吸器学会呼気一酸化窒素NO測定ハンドブック他)