医療情報

医療情報

アレルギー性鼻炎・花粉症とはどんな病気でしょう?

通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は,発作性反復性(発作的に出現しなかなか止まらない)のくしゃみ,水様性鼻漏(さらさらの鼻水),鼻閉(鼻づまり)を三徴とする(Ⅰ型)アレルギーの病気です。

アレルギー性鼻炎には、一年通しての通年性アレルギー性鼻炎と時期的な季節性アレルギー性鼻炎があります。
10〜20歳代の若年層にはダニやペットなどが原因の通年性アレルギー性鼻炎が多いのですが、通称”花粉症”と言われる季節性アレルギー性鼻炎は30〜50歳代で増加傾向にあります。
地域よって罹患率に差がありますが、日本人の30〜40%以上といわれています。

鼻の粘膜でどのようなことが起こっているのでしょう?

鼻粘膜で生じる(Ⅰ型の)アレルギー病です。
原因となる抗原(ダニやスギなど)の感作で産生された特異的IgE抗体に抗原が結合すると,ヒスタミンや(システイル)ロイコトリエンなどの炎症性物質が放出されます。

ヒスタミンは知覚神経のH1 受容体に作用して、くしゃみ,さらさらの鼻水が生じます。さらに血管透過性亢進作用などにより鼻づまりも生じます。

システイニルロイコトリエン(脂質メディエーターと言います)なども血管内皮細胞に作用し鼻づまりを引き起こします。

症状と診断は?

くしゃみ,鼻水,鼻づまり,鼻、皮膚や眼のかゆみなどの症状と,白っぽく腫脹した鼻粘膜と水様性鼻汁が、鼻周囲皮膚発赤や眼のかゆみ、結膜の充血(アレルギー性結膜炎)などがよく見られる所見です。

季節性の鼻炎の場合には、その時期に上記の症状が見らたらおよその原因抗原が推測できます。疑わしい場合に当院では血清特異的IgE抗体検査を行います。さらに鼻汁好酸球検査,皮膚テスト,誘発テストなども診断の上で原因抗原の同定に有用です。
各種花粉が飛散する時期を知っておきましょう。

治療は?

原因抗原を避けるか除去

ダニやハウスダストに対して,部屋の清掃(布張りソファー、カーペットなど),寝具類の洗濯,布団乾燥機などで抗原を除去します。
ネコやハムスターなどのペットアレルギーに対しては,飼育をやめるか,屋外で飼い,発生する毛などを除去します。
花粉症の場合は,飛散情報で多いときはできるだけ外出を避け、洗濯物を室内に干します。外出時のマスク・メガネ,室内への花粉の持ち込み予防,外出後のうがい・洗眼などを心がけます。

薬物療法(当院が使用している薬剤)

  • 鼻噴霧用ステロイド:
    液剤のナゾネックス、アラミスト、パウダー剤のエリザス
  • 第1世代抗ヒスタミン薬:
    ニポラジン(当院では下記第2世代抗ヒスタミン剤でコントロールしつつ悪化したときに頓服として使用します)
  • 第2世代抗ヒスタミン薬:
    アレグラ、アレジオン、クラリチンレディタブ、タリオン、アレロック、ルパフィン、ザイザル、デザレックス、ビラノア、アゼプチン(アトピー咳嗽で用いることが多いです)
    これらはベースとして処方しますが、それぞれ副作用もあり、患者さんの社会ならび日常生活に会わせた薬剤を選択します。
  • 抗ロイコトリエン薬(抗LTs薬):
    シングレア(キプレス)、オノン’プランルカスト
    主に鼻閉症状の患者さんに上記の第2世代抗ヒスタミン薬と併用して使用します。
  • *第2世代抗ヒスタミン薬/血管収縮剤配合剤:
    ディレグラは交感神経刺激作用があるので,重症の高血圧・冠動脈疾患,狭隅角緑内障,尿閉のある患者などには禁忌です。そして2週間を超える漫然とした長期投与には注意を要しますので短期的に処方することがあります。
  • 注)舌下(液免)疫療法:シダキュア
    アレルギー疾患の自然経過を修飾する可能性のある唯一の方法でありますが、(スギ)抗原エキスを3~4年間毎日継続して服薬します。
    私は50年以上の(当初は花粉症という病名もなく)「蓄膿症」と言われていました。当院に多数の花粉症の患者さんが受診されますが、私も含めてスギ花粉症だけでなく複数の花粉の原因抗原を持っています。
    僅か一ヶ月のスギ花粉の飛散時期のために毎日数年かけて成功率60〜80%である必要性については疑問を持っております。他の原因抗原はそのまま薬剤服用です。旅行などで冷所保存できず一週間以上休薬したら最初からやり直しになります。私には絶対に出来ないので当院としては処方しておりません。
  • 注)舌下(錠)免疫療法:
    シダトレンは常温保管が可能ですが、当院では気管支ぜんそくの患者さんが多いのでショックを起こす危険性があるので「舌下液」同様処方しておりません。