医療情報

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認知症とはどんな病気でしょう?

認知症

知能障害には,認知症と精神遅滞とがあります。
アルツハイマー病に代表される認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで日常生活・社会生活を営めない状態」であります。
後天的に生じる知能の障害である点が知的能力障害(精神遅滞)とは異なるのです。
疑われたら長谷川式管理知能評価スケール(HDS-R)やMMSE(認知症スクリーニング検査)などを行って認知程度を評価します

アルツハイマー型認知症

日常生活での様々なエピソードの記憶障害が初期からみられます。患者さん自身や身近な人々によって漸次進行する記憶障害が訴えられます。検査としては,脳脊髄液中のバイオマーカーの異常,側頭葉内側の萎縮,SPECTやPETを用いた脳機能画像における特徴的なパターンに注目されます。

脳SPECT検査を行うことで脳のどの部位の血流低下などがあるのかが分かります。それによって認知症の診断がなされますが、様々な所見があり放射線専門医や認知症専門医の診断を仰ぐことになります。

他にもよく似た認知症として、

血管性認知症

片麻痺,感覚障害,視野欠損などの局所神経徴候の確認が特に有用です。また病的泣き笑いを伴う情動不安定や叫び声もあります。そして診断の基本は脳血管障害と認知症症状の発症における時間的関連性にあります。なお高齢患者では血管病変とアルツハイマー型認知症としての病理とが併存することが多いです。

Lewy小体型認知症

ポイントは特徴的な幻視(天井から誰かが見ているとか),症状の動揺性にあって転倒転落したりしやすいです。パーキンソン病のように振戦はまだ認知症症状が明らかでない時期から多くは両側性に認められます。向精神薬による副作用が出やすいことも重要です。

前頭側頭型認知症(Pick病)

初期には記憶障害は目立たず,気分障害や行動異常,あるいは人格変化が現れます。強制把握現象(意思とは無関係に手につかんだものから離すことが出来ない)と吸引反射がみられます。目の前のものを掴まずにはいられない視覚性探索反応も特徴的です。
慢性硬膜下血腫、特発性正常圧水頭症、脳腫瘍などがあります。

(参照:朝田 隆:今日の診断指針第7版)

認知症には中核症状周辺症状があります。
これらはいずれも進行性ですが、可逆性の(改善し治癒する)認知症もあります。

  • 中核症状:認知症で傷害された脳が担っていた失われた機能であり、すべての患者に見られ病期が進むにつれて進行します。その例として「新しいことを覚えられない」「段取りが出来ない」「服の着方が分からない」「物が何か分からない」「物の名前が出てこない」などがあります。
  • 周辺症状:認知症でも保たれている脳の部位が不必要に暴れて起こる症状であり、病期と関係なく出現し、最後まで周辺症状が出現しない例もあります。その例として「物を盗まれたという」「気持ちが落ち込んでやる気がしない」「入浴や着替えを嫌がる」「大きな声を上げる」「いない人の声が聞こえる、実際にない物が見える」「無目的に歩き回る」などがあります。

(BPSD対応マニュアルいわて盛岡認知症介護予防プロジェクト物忘れ検診専門医部会)