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その他肺・気道の病気関連項目
睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気でしょう?
無呼吸とは呼吸に伴う気流が鼻孔(鼻の通り道)あるいは口の通り道で10秒以上停止した状態を言います。
無呼吸のタイプは呼吸努力の有無から次の3つの対応に分類されます。

- A. 閉塞型(OSA):無呼吸中、呼吸努力が認められ、胸郭と胸壁は奇異運動を示します。
- B. 中枢型(CSA):呼吸中枢から呼吸筋への出力が消失するため、胸郭および腹壁の動きがなくなります。
- C. 混合型(MSA):同じ無呼吸発作中に中枢型から閉塞型に移行します。
ここで説明する睡眠時無呼吸症候群(SAS)は閉塞型(OSA)を指します。
OSAの症状
以下のような症状などがあげられます。
A. 覚醒時の症候
- 日中の過度の眠気、知的能力の低下
- 起床時の頭痛、頭重感
- 性欲低下、インポテンツ
- 性格変化、抑うつ状態
B. 睡眠時の症候
- いびき
- 異常体動
- 不眠・中途覚醒
- 夜間頻尿

合併症
- 多血症:①血液量の減少による見かけ上の多血症、②赤血球産生亢進
- 高血圧症:OSAが重症化するほど高血圧症を合併しやすいです。
- 不整脈:一般には徐脈(場合には頻脈)
- 虚血性心疾患:狭心症が高頻度に合併
- 脳血管障害:発症の機序は不明
- 糖尿病:合併頻度は10%。メタボリック症候群とも関連。
- 肺高血圧症:
- 突然死:
- 周術期管理:種々の手術に伴う合併症の発生頻度が増します。
診断
- 周囲から強いいびきや無呼吸の指摘
- 咽頭の狭小化:外来診察時に分かるケースが多いです。
- 上記の「OSAの症候」で記載した覚醒時、睡眠時に2つ以上の項目がある。
- 簡易診断装置:鼻口気流、胸部もしくは腹部の呼吸運動、気管音、経皮的酸素飽和度SpO2などを測定します。当院ではこの検査を行っております。睡眠中一時間あたり10秒以上の無呼吸・低呼吸指数AHIが5以上であれば次のポリソムノグラフィー(PSG)を行います。
- ポリグラフィーPSG:脳波、眼球運動、おとがい筋電図、による睡眠段階判定ならびに中途覚醒反応の検出、鼻と口の気流などを行います。
この検査は連携病院で検査を受けていただきます。
そこでAHIが「5以上15未満は軽症、15以上30未満は中等症、30以上は重症」と診断されます。

治療
- 鼻マスク式持続陽圧呼吸(NCPAP):もっとも有効な治療です。AHIが中等症で症状があればNCPAPの適応となります。ただ、患者さんは半永久的に治療を行う必要があります。
- 手術的治療:口蓋垂軟口蓋咽頭形成術で、OSAを軽減させますが完全に消失されるのは困難なことが多いです。当院でも以前は数人この手術を受けましたが、最終的にはNCPAPをされています。
- 口腔内装置:第一選択の治療ではありませんが、歯科クリニックでマウスピースのような装置を作成してもらいます。安価、簡便で軽症の患者さんには適応があると考えます。当院でも今まで数人この装置を作成してもらいました。
- 生活習慣の改善:減量、就寝前の飲酒や睡眠薬の服用を避けます。

(日本呼吸器学会 他:成人の睡眠時無呼吸症候群診断と治療のためのガイドライン)