医療情報
慢性閉塞性肺疾患(COPD)関連項目
COPDの診断と検査
COPDを発見するには「疑うこと」が重要です
- a. 喫煙歴あり(特に40歳以上)
- b. 咳(特に湿性)、痰、喘鳴(ゼーゼー)
- c. 労作時(階段や坂道の登り、など)の息切れ
- d. 風邪(上気道)症状時の b.または c.(風邪が長引くことあり)
- e. 風邪(上気道)症状を繰り返す、または回復に時間がかかる
- f. COPDに多い併存症には?
心血管系疾患、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症、など
問診・視診のこつは?
注意)COPDの患者さんは楽な生活スタイルをとるので「息苦しくない」と答えます。
- 駅ではエレベーターやエスカレーターは使いますか?
- 重い荷物はどうしています?
- 自宅ではどのように過ごしていますか?
- 口をすぼめているか見ましょう。
- 最近、体重は測られていますか?
- 胸、腕や太ももの筋肉はどうです?
COPDの診断基準はどうあるのでしょう?
- 1. 長期の喫煙歴などの曝露因子があること。
- 2. 気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーでFEV1/FVC(1秒率)が70%未満であること。
- 3. 他の気流の閉塞(気管支結核、腫瘍や異物など)を来しうる疾患を除外すること。
COPD診断に欠かせない検査は?
1. 肺機能検査 フローボリューム曲線
肺機能検査でフロー・ボリューム曲線が下に凸になり、急流速度も少ないため高さが低くなります。
1秒率が70%未満であればCOPDと診断され、さらに対標準1秒量の%で重症度が変わります。
2. 胸部レントゲン写真、できれば高解像度のHRCTで評価しましょう。
胸部CT写真。HRCTなら肺末端の肺胞領域まで鮮明に分かるので早期に診断が可能です。
3. 経皮動脈酸素飽和度(パルスオキシメーター)、動脈血ガス分析測定
パルスオキシメーターは簡易に動脈血液中の酸素の量を測定するのに便利です。その酸素飽和度をSpO2と言いますが、安静時に90%を割るようでは在宅酸素療法の導入を考慮しなくてはなりません。(正常は96~98%です)
ただ、呼吸不全には動脈血液中のCO2量によってI型呼吸不全(正常内か低値)とII型呼吸不全(高値)に分けられます。問題は後者で、高濃度の酸素を投与するとCO2の量が一気に増加し意識消失、死に至るCO2ナルコーシスという状態に陥ります。
そのためには動脈血液中のCO2を測る必要があります。この場合には動脈血ガス分析装置が必要となります。
当院では装置を常備しておりますので直ちに測定は可能で、そのCO2量を見ながら酸素量を設定します。