医療情報

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インフルエンザとはどんな病気でしょう?

毎年12月から2月の流行期に38℃以上の発熱と咳を認めれば多くはインフルエンザです。

通常言うインフルエンザは「インフルエンザウイルス」の感染で、口腔内の細菌感染で多い「インフルエンザ」とは別物です。

症状は?

潜伏期は1〜3日で、高熱、悪寒、頭痛、倦怠感、筋肉痛や関節痛などの全身症状に鼻汁、咽頭痛や咳などが急に発症してきます。中には関節痛、悪心、嘔吐、腹痛や下痢を伴うことがあります。
発熱は3〜5日ほど続きますが、その後は急激に下がります。まれに脳症などを引き起こすことがあります。

診断は?

上記の症状などがあれば、鼻咽頭から綿棒を入れて検体を採取してみる迅速キットがあります。ただ、感染初期にはウイルス量が不十分で検出できないことがあります。また、迅速キットで陰性でも感染は否定できませんので総合的に診断します。
後咽頭(喉の奥)にリンパ濾胞(赤いブツブツ)が見られればインフルエンザの可能性が高いです。

重症度の判定は?

通常は重症化することなく治癒しますが、ショック、意識障害、呼吸不全や脱水等を来す場合には基幹病院での治療が必要になります。
高齢者、慢性心臓病、慢性呼吸器病、糖尿病、慢性腎臓病や妊娠中後期の患者さんでは重症化しやすいので流行期前にはインフルエンザワクチンの接種を心がけましょう。

治療法は?

多くの日本人は感染しますと抗ウイルス薬を処方されるのですが、諸外国では水分摂取と安静を保ち、感冒薬のみで治療することが多いです。
日本が世界での抗インフルエンザ薬全使用数の約7割を占めていることを理解すべきです。

発症後48時間以内に抗ウイルス薬を服用することで、半日〜一日程度早く発熱などを短縮するものです。インフルエンザは通常自然治癒する病気であることを理解しましょう。当院では、基礎疾患がない場合には麻黄湯か葛根湯を第一選択にしております。

現在、抗ウイルス薬には、ザナミビル(リレンザ)、オセルタミビル(タミフル)、ペラミビル(ラピアクタ)、ラニナミビル(イナビル)やバロキサビルマルボキシル(ゾフルーザ)がありますが、基礎疾患や抗ウイルス薬が必要と判断した患者さんには、当院では安全性や薬剤耐性などを考慮してタミフルかイナビルを使用しています。
妊婦の患者さんには、タミフル・リレンザ・イナビルが推奨されています。

(今日の診断指針 第7版)(ジェネラリストのための内科診断リファレンス2014)