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呼吸リハビリテーション関連項目
コンディショニングとは?
コンディショニングとは?
呼吸リハビリテーションの中心は運動療法ですが、いきなり運動を始める訳ではありません。円滑に運動を開始するために、まずはコンディショニングとよばれる心身の準備調整を行います。コンディショニングには主に、リラクセーション、呼吸練習、排痰練習などが含まれます。
リラクセーション
息切れが強い方は、特に胸部周囲(胸郭)や肩・首周りの筋肉が緊張し硬くなりやすいと言われております。そこで運動前には、呼吸に合わせて関節をほぐす運動や頸部~肩にかけた筋肉のストレッチ等を組み合わせたリラクセーションを実施します。身体の状態によっては股関節や膝関節などの足のリラクセーションも合わせて実施いたします。
呼吸練習
呼吸練習は主に口すぼめ呼吸と腹式呼吸の練習を行います。
口すぼめ呼吸:ロウソクの火を消すように唇をすぼめる呼吸法のことを指します。空気を上手に吐き出すことが出来ない閉塞性換気障害を認める場合、運動中は一層空気を吐き出すことが難しくなり息切れを引き起こします。このような場合、口すぼめ呼吸は息切れ軽減効果を得られると言われており、運動と呼吸のタイミングを合わせながら練習を行います。
腹式呼吸練習:横隔膜をトレーニングすることで、首周囲の筋肉の疲労を減らし息切れ改善を目指します。但し、腹式呼吸を無理に行うとかえって息切れが悪化する方もおられますので注意が必要です。
排痰練習
喉の奥で痰が絡んで、咳を出してもなかなか出ない…。そのようなお悩みはありませんか?痰を外へ排出することを排痰と呼びますが、痰の排出が困難な方に排痰方法を練習することも呼吸リハビリテーションの一部です。
排痰を促す手段
1)加湿
痰が硬いと排痰しにくいため、加湿が重要になります。誤嚥(むせ)に注意しながら、こまめに水分摂取をしましょう
2)肺への空気の出入りの量(換気量)を上げる
吸った空気が気管支に入ると、その気量と気圧によって気管支が拡がり、痰に隙間ができて奥の肺(肺胞)まで空気が届きます。肺胞が広がると、吐き出す際の勢いによって痰が移動します。つまり、換気量が多いほど痰は外の方向へ動きやすいのです。
換気量を上げる1番効果的な方法は運動です。従って、運動療法は筋力や体力を向上させるだけでなく、排痰を促すためにも重要です。しかし換気量を上げるほどの運動が難しい場合、姿勢や呼吸方法の調整、理学療法士による呼吸・咳嗽介助を行い、換気量を上げ排痰を促すことも行います。
3)咳嗽力を上げる
運動により咳をする筋力の増加を目指します。また咳嗽力を高めやすい姿勢や呼吸法の練習を行います。例)ハフィング…腕を交差するように脇の下で組み、少し背中を丸めお腹に力を入れて「ハーッ、ハーッ」と勢いよく息を吐き出す方法。
4)ACBT(Active cycle breathing technique)法
運動により換気量を上げることが難しい場合や、自宅など一人で排痰練習を行う場合、ACBT法と呼ばれる深呼吸とハフィングを組み合わせた排痰方法が有効です。