医療情報

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生活習慣病の年間診療計画と検査

疾患の概念

生活習慣病をしっかりと管理をしておかないと60歳を過ぎますと様々な障害が身体のあちこちに生じてきまして薬の数が増すだけでなく、脳梗塞、心筋梗塞、腎不全や呼吸不全などを発症します。寝たきり状態になりかねません。「健康寿命の延伸」が出来なくなります。

その前には「フレイル(衰弱を意味します)」に陥ります。フレイルとは、健常から要介護へ移行する移行期です。
フレイルにはいろいろあって、

  • 身体的フレイル:加齢に伴い筋力や骨が衰えることからや、ときには脳梗塞や転倒骨折などにより身体的活動が衰えて来る状態です。
  • 社会的フレイル:独居や経済的困窮などから周りとの交流が減ってきて家に閉じこもりがちになる状態です。
  • 精神的・心理的フレイル:認知機能や判断機能が低下、さらにはうつになる状態です。

これらが複合的に絡み合って要介護状態になって行く状態、さらには早い段階で健康寿命を迎えることになります。
こういったことにならないように当院では年間計画を立てて早期に発見し、様々な手段を講じてフレイル予防に心がけております。

当院の生活習慣病指導年間計画書

この年間計画書を作成し、ファイルに入れて患者さんに所持してもらいます。
この計画に基づいて診療を行うことで治療目標を常に確認できると共に、ファイル内には検査結果などを入れておくことで、他院に受診した際にも診療内容が一目瞭然です。

レントゲン撮影装置と画像モニター

当院での根幹をなす検査です。レントゲン写真ではいかに精細な画像を撮影するかが正しい診断に結びつきます。
当院では従来からコンピュータX線撮影CRでしたが、現在はFUJIFILM CALNEO Smart デジタルX線撮影DRを導入しました。
これにより胸部レントゲン写真では見落としやすい心臓、縦隔(左右の肺の間にある重要臓器の通り道)や横隔膜に隠れた腫瘍陰影も鮮明に映し出されます。それと画像モニターではEIZOの RadiForce RX360、同GX340-CLを採用してより鮮明な画像になりました。

肺機能検査

当院では気管支喘息を疑う患者さんはもとより、喫煙者や受動喫煙を受けている患者さんには早期にCOPDを診断する必要がありますので、そういう患者さんには1回/年この検査を行っています。
肺年齢も測定されるので卒煙への指導機会にもなります。
生活習慣病の一つで全身病でもあるCOPDは常に頭に入れて診療するために年間計画には欠かせません。

骨密度測定

骨粗しょう症の検査で、X線吸収測定法(DXA法)の測定器で超音波検査より正確とされています。当院の骨密度測定装置は最新のALOKA Dichroma Scan DCS600-EXVです。骨量測定において安定した結果が得られ、患者さんには経時的変化を正しく説明できます。患者さんの骨量によって1回/2年~2回/年の間隔で測定しています。骨量が低い場合には骨折を来す危険性がありますので、食事運動指導だけでなく内服もしくは注射の治療を行います。

超音波検査

上下腹部、心臓、甲状腺や乳腺さらには動脈硬化をみる頚部ドップラー検査、エコノミー症候群かの有無をみる下肢静脈血栓症などの診断を行います。当院の使用している超音波診断装置はCanon Aplio a Verfiaで従来の画像より鮮明で診断の精度が格段に向上しております。当院ではこの装置で発見しにくい膵ぞうがんや胆のうがんを早期に診断しております。生活習慣病では多くの合併症を伴いますので管理上必要となります。

負荷心電図

狭心症などの検査には、安静時の心電図では分かりませんので負荷心電図が必要です。生活習慣病の患者さんは心電図上異常所見を伴うことがしばしばです。心筋梗塞を未然に防ぎ、心臓カテーテル検査が必要かの判断も行っています。さらに生活習慣病の患者さんに運動を指導する場合、その運動負荷の設定量を決める上でも必要となります。