医療情報
誤嚥性肺炎とはどんな病気でしょう?
誤嚥性肺炎という病名は日常よく使われていますが、明確な基準がありません。つまり明確な診断基準がないのです。肺炎の病像があってもはっきりと誤嚥で起こったのか評価が困難でだからです。また、誤嚥があっても必ずしも肺炎を起こすとは限りません。
一般に嚥下機能の低下が生じて、「食事中に頻回にむせが生じる」ことが確認されることが必要です。
誤嚥を起こしやすい病気とは?
- 1. 全身衰弱・長期臥床
- 2. 意識障害
- 3. 急性脳血管障害
- 4. 慢性神経疾患(認知症、脳梗塞後遺症、多系統萎縮症、パーキンソン病など)
- 5. COPD
- 6. 医原性(経管・経鼻栄養など)鎮静剤や睡眠剤、薬剤性口腔乾燥、咽喉頭の手術後など
誤嚥性肺炎を起こしやすい患者さんの病態とは?
- 1. 咳や痰を出す力が低下:全身衰弱、長期臥床
- 2. 気道の痰などが粘っこくなっている:COPD、気管支拡張症など慢性気道炎症性疾患
- 3. 免疫能低下:急性脳血管障害、全身衰弱、長期臥床、低栄養など
こういった疾患や状態のある患者さんに対しては誤嚥を起こしやすいので、病院で嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査などを行います。
治療法として薬物療法などがありますが、一般には胃ろう造設などするケースもが多いようです。当院では嚥下状態を早期に評価して歯科医や管理栄養士などと栄養サポートチームNSTを組んで嚥下訓練・口腔ケアをすることが多いです。しっかりとNSTが行えば誤嚥のリスクは改善することが多いです。
また、誤嚥性肺炎を繰り返す高齢者は予後が不良です。そのためにいつ死に至るか分かりません。そのために意思決定が困難になるまでに現在の病気だけでなく終末期にむかっての医療介護についてご本人、ご家族や医療者と一緒に相談し生前指示書ACP(advanced care planning、最近国として“人生会議”と呼ぶようになりました。)を作成しておきましょう。これはその経過の中で変化も生じますので一度作成したACPが最終決定ではなくプロセスであることをご理解ください。
詳しくは当院にお尋ねください。