医療情報

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運動能力の評価方法とは?

運動能力の評価方法とは?

当医院の呼吸リハビリテーションでは、①一人一人の身体の特徴を理解しリハビリテーションプログラムに活かすこと②リハビリテーション効果を科学的に検証しプログラムの修正を行うこと③患者さんご自身が目に見える形で効果を実感していただくことを目的に、様々な運動能力の評価を定期的に行います。

1)運動耐容能(体力)の評価

・6分間歩行試験

6分間歩行試験とは平地を【6分間で出来るかぎり長い距離を歩く】試験です。6分間で歩いた総距離や息切れの程度、血中酸素飽和度の低下の程度を解析することで、体調変化の有無、呼吸リハビリテーションの効果や日常生活における休憩のタイミングや動く速度などを把握することが出来ます。データの解析は専用ソフトを用い、詳細な解析や前回データとの比較が可能です。また在宅酸素療法を利用している方の適正な酸素流量や、在宅酸素療法導入の必要性などの診断の補助検査としても実施します。


・運動負荷心電図検査

当医院では運動時の不整脈や心筋虚血(狭心症を起こす)の有無などを含めた詳細な体力を評価するために、自転車を用いた運動負荷心電図検査も実施しております。運動負荷心電図検査は、体がしんどいと感じるまで自転車を漕ぐ検査です。運動中の心電図変化を多面的に評価することで、呼吸リハビリテーションや自宅での運動における適正な運動の強さを測定することが出来ます。

2)筋肉の評価

サルコペニアという言葉をご存じでしょうか?サルコペニアとは【加齢に伴い骨格筋量が減少した状態:筋肉減少症】を指します。日本では高齢者の20-30%がサルコペニアと報告されております。サルコペニアに至っている方は日常生活への不自由さや歩行時のふらつきが増加すると言われており、最近注目されています。肺の病気の方は、病気による影響もありサルコペニアを引き起こしやすいと言われており、呼吸リハビリテーションを行う上で詳細な筋肉の評価(筋力、筋量、筋機能)を行うことは重要と考えています。

・筋力の評価

筋力の評価として、握力や膝の筋力を測定します。サルコペニア予防の為には、握力は男性で28kg、女性で18㎏以上を維持することが重要です。また歩行に必要とされる膝の筋力は体重の約40%、階段昇降に必要とされる膝の筋力は体重の約50%が必要であると報告されています。


・筋量の評価

筋量の評価にはIn Body©という測定器具を用います。サルコペニア予防の為には、骨格筋量は男性で7.0㎏/m2、女性で5.7㎏/m2以上を維持することが重要です。またIn Body©では手足・体幹の筋量差や、左右の筋量差を計測することも出来ます。測定データはグラフ化してレポートを作成した上でご説明いたします。


・筋機能の評価

筋機能の評価として当医院ではSPPB(Short Physical Performance Battery)と呼ばれる検査を実施しております。SPPBは①バランステスト、②歩行テスト、③立ち上がりテストの3項目から構成された12点満点の検査になります。サルコペニア予防の為には、SPPB総得点が10点以上あるいは歩行速度が1.0m/秒以上を維持することが重要です。

3)その他の評価

体力や筋肉の評価の他に、日常生活での息切れの調査、呼吸筋力の計測、毎日の歩数(身体活動量)の調査、痛みや麻痺など合併症や後遺症による運動機能への影響も評価し呼吸リハビリテーションに活かしていきます。