医療情報

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症とはどんな病気でしょう?
2019年11月(中国政府は2020年に1月に報告)中国武漢を発生源とする「野生動物が感染源となって、動物からヒト、ヒトからヒトへの感染」が広がりました。

感染経路
感染している人の咳や会話によって生じる「しぶき」を吸入したり(飛沫感染)、ウイルスが含まれる喀痰や唾液などに接触した手で口や鼻、眼を触ったり(接触感染)することで感染します。
潜伏期間
感染してから潜伏期間は1〜14日(中央値5.1日)。ウイルスの排出は、発症する2〜3日前より始まり、発症直後には感染力が最も強く、発症後8日で感染力は大幅に低下すると報告されています。なお、発症後7日以降はPCR検査が陽性であっても、ウイルス培養では陰性であり活性は認められないとの報告があります。鼻咽頭に症状のある(症候性)感染者と(症状のない)無症状感染者とでは同等のウイルス量が認められており、無症状であっても感染力があると示唆されています。
症状
典型的な初発症状はありませんが、発熱、乾性咳嗽、頭痛、筋肉痛、悪心(嘔吐はなし)が比較的多い症状である。嗅覚・味覚障害、倦怠感、下痢なども伴うことがあります。
肺炎を生じて呼吸困難を認める場合には発症後8日後に出現することが多いようです。重症化して多臓器不全にいたることがありますが、全ての感染者が発症するわけではありません。
治療法は?
喫煙者は新型コロナウイルスに感染しやすく、かつ重篤化しますので、これを機会に禁煙をする方が増えています。
(「香川・タバコの害から健康を守る会」代表の森田純二先生からいただいたポスターです。)

一部のクリニックでは唾液でのPCR検査が可能になりました。
当院では2020年7月から発熱外来を設け、PCR検査を行っています。
さらにインフルエンザシーズンを迎え、鼻咽頭のPCR検査ならびに抗原検査も必要に応じて取り入れることになりました。

類似疾患との症状の比較
症状 | COVID-19 | カゼ | インフルエンザ | アレルギー |
---|---|---|---|---|
熱 | よくある。 37.5℃以上程度の発熱4日以上 |
まれ | 38℃以上の高熱が突然現れ 3〜4日続く |
なし |
頭痛 | ときにある | まれ | 強い | ときにある |
強い嗅覚・味覚異常 | よくある | まれ | まれ | まれ |
全身の痛み | ときにある | 軽い | よくある。 しばしば強い |
なし |
だるさ・脱量感 | ときにある | 軽い | よくある。 しばしば強い |
ときにある |
強い虚脱感 | ときにある。 ゆっくり進行する |
決してない | ある。(初期から) | なし |
鼻づまり | まれ | よくある | ときにある | よくある |
くしゃみ | まれ | よくある | ときにある | よくある |
せき | よくある。とぎれず続く。 乾性が多い |
軽度から中程度 | よくある。 ひどくなることもある |
ときにある |
COVID19では後で下痢、悪心、腹痛などの症状も伴うことが多いようです。
(日本医師会編 新型コロナウイルス感染症 外来診療ガイド)
徐々に分かってきた「新型コロナウイルス感染症COVID-19」の臨床経過
COVID19の罹患者がついに世界で1億人を突破しました。この1年の間に世界中から多くの論文が出されており、このウイルスの臨床経過が徐々に分かってきました。実際に私も当クリニック外来や軽症者が療養施設で患者さんを診ることが多いので少しまとめてみましょう。
感染潜伏期間は幅が広いですが、多くは4,5日のようです。初期症状は インフルエンザや感冒に非常に似ておりこの段階で鑑別することは非常に難しいです。従来のコロナウイルスは通常の感冒の原因ウイルスでもあるからです(10〜15%)下図を参考にしてください。当初PCR検査を受ける基準として「37.5℃以上の熱が4日間以上」といわれたのでCOVID-19には感染していると思わずこの時期に密な場所に出歩くことは感染力が最も強いので注意が必要です。
頻度の高い初期症状は、「新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引第4.1版」によると発熱,咳嗽, 倦怠感,呼吸困難などが上げられています。当クリニックでの初診時で症状では数日間高熱が続くより、咽頭痛、鼻水、鼻づまりのことが多いです。熱のない患者さんも少なくありません。その理由としてクリニックでは医師の判断によって早い段階で診察し検査していることが考えられます。発症から少し時間が経つと10〜20%に下痢、味覚障害、嗅覚障害がみられます。
肺炎は図のように5日から1週間してからが多いようですが、当クリニックでは肺炎を発症して受診された患者さんはおられませんでした。
ただ、罹患された患者さんが同じような症状や経過をたどるというような物ではありません。とくに重症化しやすい下記のリスクがある方は十分にご注意ください。
- 1. 65歳以上の高齢者
- 2. 慢性閉閉塞性肺疾患(COPD)
- 3. 慢性腎臓病
- 4. 2型糖尿病
- 5. 喫煙者
- 6. 悪性腫瘍
- 7. 肥満(BMI30以上)
- 8. 高血圧症
- 9. 脂質異常症(高コレステロール血症、高中性脂肪症)
- 10. 固形(肝臓や心臓など)臓器移植後の免疫不全

(「新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引第4.1版」)
感染対策
当院では1998年1月開院以来ドイツで学んだ感染症対策をとっております。医療動画ページ内の「今日から取り組む感染対策」動画をご覧ください。
2020年、新型コロナウイルス感染症が大流行(パンデミック)した時には新たに入り口とおよび動線を完全に分けた「発熱外来用 第3診察室」を設けました。一方、通常の待合室は濃厚接触を防ぐために雑誌、新聞や血圧計などをすべて撤収し、ソーシャルディスタンスを確保するためにソファーの間隔を広げました。受付はアクリル板によるパーテーションを設置いたしました。今後はこういった感染症流行時には即座に導入いたします。
さらに濃厚接触を防ぐために従来の自動受付システムを202年9月より変更し、「インターネット・電話による自動予約受付を導入しました。ぜひご利用ください。
利用法は「インターネット電話による自動予約受付のご案内」ページをご覧ください。



