医療情報

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COPDの治療(包括的肺リハビリテーションを考慮して)

1. 薬物治療

基本は吸入の抗コリン剤LAMAです。LAMAは軌道の中枢域にムスカリン受容体というものがあってこの領域には効果的です、さらに肺末梢領域にはβ2受容体が効果的に作用しますので長時間作用型β2刺激吸入剤LABAを配合した薬剤が主流になってきました。

吸入薬剤の種類、作用機序、器具そして吸入法を、別ページに詳細に記載しておりますのでご覧ください。

ぜんそく(喘息)とCOPDの吸入剤について

2. 非薬物治療

a. 運動療法

これは最も重要な治療です。筋肉も痩せて、さらには緊張しておりますので筋トレ、ストレッチ、そして有酸素運動の組み合わせが必要です。当院では負荷心電図を行って、心血管に問題が無いかをみて運動負荷を決定しています。さらには自宅でもウオーキングやセラバンドやウエイトなどを用いて運動を日常生活の中に導入しています。

b. 禁煙治療

運動療法とともにもっとも必要な治療です。
当院での禁煙治療の詳細は「禁煙治療・タバコの話」ページ内に書かれておりますのでご覧ください。

禁煙治療とは?

c. 感染予防

手洗いなどは下記の「今日からできる感染対策」のボタンをクリックして動画をご覧ください。
ここではインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン接種は必ず受けましょう。COPD増悪の要因としてインフルエンザや肺炎にかかることで急激に悪化します。インフルエンザは当院では毎年10月から予約の受付を始めます。

今日からできる感染対策

肺炎球菌ワクチン:
各市町村より60歳から1回の接種のみ補助されます。ただ、それは従来からある23価のワクチン(ニューモバックス)です。以前に接種された方は対象外です。
このワクチンは多くの患者様が5年ごと自費で接種されたのですが、再接種をしていくと抗体価が下がると言うことが分かってきました。そのため日本呼吸器学会はガイドラインを出し、新たな13価のワクチン(プレベナー)を併用することで抗体価が持続することが可能となりました。ただしその手順が複雑ですので、23価ワクチンを接種される時には看護師がご相談を受けます。ただし、13価ワクチンは任意で自費です。

d. 食事指導

COPDは併存症として糖尿病やメタボリックシンドロームがあります。また筋肉萎縮などのサルコペニアや骨粗鬆症なども進行に合わせて起こってきますので、その時の状態に応じて管理栄養士が食事指導に関わります。
合併症がなければ原則「高タンパク・高カロリー食」です。
ほかに共通していえるのはCOPDが肺の過膨張による疾患なので横隔膜を下に押してくるため呼吸運動が制限されます。その一方便秘や腹部にガスが大量に貯まるようであれば横隔膜を下から押し上げる作用もかかりより呼吸運動が制限されます。便通をよくすることは心がけましょう。

e. 社会交流

併存症として不安・抑うつ自宅に閉じこもってしまうことが多いです。できるだけ外に出て交流を図りましょう。
当院では隔月でCOPDの患者様も含めてカフェを開催しております。カーレットというゲームも行うことで呼吸苦の改善にもなります。